2020年4月20日月曜日

クルミの俳句



前回と前々回は、クルミに関する和歌について調べました。

そこで今回は俳句も調べてみました。
「胡桃」は晩秋の季語です。

子季語(本来の季語の関連で拡張された季語)に
「鬼胡桃」「姫胡桃」「沢胡桃」「河胡桃」「山胡桃」「野胡桃」「新胡桃」「胡桃割る」
があります。

数多くの俳人がクルミの俳句を詠んでいます。
以下、有名な俳人のものを中心にご紹介します。
色がついているのが個人的に好きなもの



胡桃割り呉るゝ女に幸あれと(高浜虚子)
胡桃割る夜のまどゐに加はりし(高浜虚子)

晴れし日の胡桃の落つる音と知る(中村汀女)
胡桃落つ日の夜となれば月明かく(中村汀女)
土地の娘が仕えてぞ割る胡桃かな(中村汀女)

婆々の背に胡桃の袋かつかつと(中村草田男)
日と風の通ひて胡桃茂り実のり(中村草田男)

クリスマス胡桃の樹肌あたたかに(三橋鷹女)

信濃の胡桃二三日持ちつひに割る(加藤秋邨)
声出さねば胡桃になるぞ雪夜にて(加藤秋邨)
眠り待つ胸中胡桃割りつづけ(加藤秋邨)
胡桃割つてその透きとほるひと代かな(加藤秋邨)
胡桃踏んでしばし足裏いきいきす(加藤秋邨)
閻魔の口に胡桃噛ませて割るべかり(加藤秋邨)
馬の子の歯茎桃色胡桃見て(加藤秋邨)
ポケットの胡桃鳴らして年を越す(加藤楸邨)
一徹に胡桃を割るやうなづいて(加藤楸邨)

寒き夜の鼠おろかや胡桃噛む(山口誓子)
炎天の岩にうち据ゑ胡桃割る(山口誓子)
誕生の佳き日信濃の胡桃乾す (山口誓子)

山川は鳴り禽たけく胡桃熟る(飯田蛇笏)
渓流に雲の白みて胡桃熟る(飯田蛇笏)
残暑なほ胡桃鬱たる杢の家(飯田蛇笏)
照る雲に喬木は胡桃夏めく瀬(飯田蛇笏)

山の雲通へばさわぐ青胡桃(山口青邨)
流れくる胡桃を拾ふおもしろし(山口青邨)
流れよる胡桃も拾ひためておく(山口青邨)
盆の月胡桃の枝を離れ照る(山口青邨)
胡桃など割つてひとりゐクリスマス(山口青邨)
胡桃の葉透かし明るし盆の月(山口青邨)
広瀬川胡桃流るる頃に来ぬ(山口青邨)

簗まろぶ胡桃の中の落鰻(水原秋櫻子)

釣床に人白うして胡桃緑なり(尾崎紅葉)

木食の坊主おとしか姫くるみ(井原西鶴)

夜嵐や破風を打ぬく鬼胡桃(探梅)

いくたびも眼で割り胡桃割らず置く(山口速)

もうそろそろ山が笑ふと胡桃の木(高澤良一)

秋以外にも春、夏、冬、それぞれの季節の俳句もあるんですね。

現代の俳句にも面白い句が多そうです。
また今後調べてみたいと思います。
グラッチェ!

〔引用・参考文献〕
・平井信二(1996). 木の大百科ー解説編ー. 朝倉書店.

・俳句季語一覧ナビ. 「季語/胡桃(くるみ)を使った俳句」.
 https://www.haiku-kigo-ichiran.net/kurumi/

・ブログ「575筆まか勢」. 胡桃.
 https://fudemaka57.exblog.jp/23239182/

・ブログ「ジャパノート-日本の文化と伝統を伝えるブログ-」. 中村汀女の俳句 120選 -春夏秋冬-.
 https://idea1616.com/teijo-haiku/

・ブログ「栗カメの散歩漫歩」. 晴れし日の胡桃の落つる音と知る.(2015年12月1日掲載).
 https://kuribou.hatenablog.com/entry/20151201

・木の情報発信基地.中川木材産業株式会社.
 https://wood.co.jp/6-bunka/haiku/0-kurumi.htm

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